食物繊維

食物繊維とは

食物繊維とは、食物中に含まれている「人の消化酵素では消化できない成分」の総称です。たんぱく質、脂質などは、消化酵素によって分解(消化)され、小腸から体内に吸収されていきますが、食物繊維は消化、吸収されずに大腸まで到達します。整腸作用など、体の中で有用な働きをすることから、炭水化物・たんぱく質・脂質・ビタミン・ミネラルの5大栄養素に次ぐ、「第6の栄養素」とも言われています。

食物繊維は、大きくは、水に溶けやすい「水溶性」と水に溶けない「不溶性」の2つに分けられます。また、腸内の善玉菌のエサになって発酵する「発酵性」と、腸内細菌に利用されず便のカサを増し排便を促す「非発酵性」という分け方もあります。

減少する日本人の摂取量

日本人男女の1日あたりの「食物繊維」の平均摂取量は年々減少しています。中でも穀物からの摂取量が、2018年には、約60年前の1955年に比べて3分の1以下になっています。これは、食生活の欧米化が進んで米を食べる人が減ったこと、大麦など雑穀の摂取量が減ったことなどが一因と言われています。
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小麦に含まれる食物繊維

小麦の粒をまるごと挽いた全粒粉や小麦粒の表皮(ブラン・ふすま)には、食物繊維が多く含まれています。通常の小麦粉100gに含まれる食物繊維は2.7gなのに対し、全粒粉には11.2gも含まれています。玄米と比べても約3.7倍、ごぼうなどの食物繊維含有量が多い野菜と比べても桁違いです。また、最近では、食物繊維の一種であるレジスタントスターチ(難消化性でんぷん)を多く含む高食物繊維小麦も育種されています。

消化酵素で分解されず、大腸まで届くでんぷん

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監修

大妻女子大学 教授/日本食物繊維学会 理事長
青江誠一郎