発酵性食物繊維/小麦由来アラビノキシラン

食物繊維の分類

食物繊維は、整腸作用をはじめ、人の健康に欠かせない働きを担ってくれる重要な栄養素です。食物繊維には非常に多くの種類があり、分類の仕方もさまざま。一般的には水に溶けやすい「水溶性」と水に溶けない「不溶性」などが知られていますが、腸内での発酵のしやすさによって「発酵性食物繊維」と「非発酵性食物繊維」に分ける場合もあります。

発酵率が25%以下の食物繊維

発酵性食物繊維の働き

腸には腸内環境を大きく左右する腸内細菌が生息しています。体に良い影響をもたらす善玉菌、悪い影響をもたらす悪玉菌、どちらにも属さない日和見菌の3つがあり、善玉菌を増やすことが腸内環境を整えるポイントです。発酵性食物繊維は、善玉菌のエサとなって発酵し、善玉菌の増殖をサポートします。

発酵性食物繊維の種類

水溶性食物繊維の多くと、一部の不溶性食物繊維が発酵性食物繊維にあたるといわれています。レジスタントスターチは不溶性食物繊維でありながら、腸内細菌のエサになる“発酵性”という、通常は水溶性食物繊維が持つ特徴を併せ持ったでんぷんです。発酵性食物繊維は、小麦全粒粉や小麦ブラン(ふすま)、大麦、根菜類、大豆製品などに多く含まれています。

発酵性食物繊維の特徴

発酵性食物繊維は、その種類によって、腸内で発酵する速度が異なります。水溶性のものは主に大腸の入り口から真ん中あたりで、不溶性のものとレジスタントスターチは大腸の奥で、善玉菌のエサとなって発酵します。したがって、腸全体の環境を良い状態に保つためには、いろいろな種類の発酵性食物繊維を摂ることが大切です。
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小麦由来アラビノキシランとは

小麦由来アラビノキシランは、小麦全粒粉や小麦ブラン(ふすま)などに多く含まれている発酵性食物繊維です。腸の奥に届いて酪酸菌をはじめとする善玉菌のエサとなり、善玉菌の増殖を助けます。また、酪酸菌は酪酸などの短鎖脂肪酸をつくり出し、腸内環境を改善します。短鎖脂肪酸には、腸のぜんどう運動を促進する働きがあり、便通の改善にも役立ちます。

監修

大妻女子大学 教授/日本食物繊維学会 理事長
青江誠一郎